Podcast

The New Quantum EraというPodcastの今日の配信で、量子計算(アニーリング、断熱、とか)について若手研究者が語っている。理論と実装の両方を考えていて、2つのどちらも素人の私には興味深かった。ノイズの話がサラっと流されている気がして少し残念。

 

こういう話を聞けるサイトとか、きっとあるんだろうなぁ。素粒子のビデオ講演を以前CERNのサイトで見たけれど、今はどうなっているやら。

 

追記:

上記は The New Quantum Era というPodcastの 「Adiabatic and Counterdiabatic Quantum Computing」というエピソードでした。

 

他に The Post-Quantum World というPodcastの 「Warm Interconnected Qubits」というエピソードは新興スタートアップの技術の紹介なんだけど、エピソードの情報欄にNatureの論文の出典をきちんと記述していて好感が持てる。

 

また、Quantum Tech Pod というPodcastの 「Episode 60」ではインド系らしき女性が話していて、聞き手(白人男性?)が研究職での女性差別について質問していて、こういう話題は日本語のPodcastでも扱うといいなぁ、と思いました。

人間は耳より目

「物理」グループの購読(6)、の記事でオブジェクト指向について書いたので、その続きを書きます。

 

だいぶ前の数学セミナー竹内郁雄さん(竹内さんをライオン丸と呼んだ方がいました)が、オブジェクト指向プログラミングが普及した理由について:

 

古い手法のフローチャートでは時間方向に機能を並べるのに対して、新しい手法のオブジェクト指向では空間的に機能を配置する。

人間は時間方向よりも空間方向の情報処理能力が優れているので、オブジェクト指向プログラミングの方がやりやすかった。

要するに、人間は耳より目が優れているので、オブジェクト指向が普及したのだ。

 

という趣旨の事を書かれていました。それを見て思ったのは

 

1)

ゼロックスPARCの研究者たちは日常世界をコンピュータ内でシミュレーションするためにオブジェクト指向を考案したけど、確かに、オブジェクト指向で作成された経理システムに「経理部員」や「印鑑」なんていうオブジェクトは無くて、オブジェクト指向を使ってコンピュータ・システムを作る利点は、シミュレーションとは別にある。

インターフェイスの独立=部品の分離、が良いというのが利点です。)

 

これは、当初の意図とは別のところで発明品がウケた、という、何だか、あるあるな話ですね。

 

2)

時間より空間、というと現在の「標準的な数学」が様相論理より古典論理を選択しているのも、同じ理由かもしれません。(数学基礎論の本を読んでいて、なぜ20世紀の数学者たちが古典論理を選んだのか、理由が明記されていない気がします。)

 

3)

もし、目より耳が発達している宇宙人がいたら、フローチャートのプログラミングや様相論理を選択するんでしょうか?

 

4)

細かいことを言うと、Smalltalkの個々のメソッドのコーディングは時間方向に処理を並べたものだし、数学でも条件付き確率は時間の流れを意識した定義だし、そうそう一方的に時間より空間優先ではありませんね。

重力による空間の曲がりの程度

1.1円玉が生む時空への影響の程度について書きます。

 

まず、直径1メートルの円の円周の長さは約3メートルです。細かく言うと3.14xxx メートルで、数学でいう円周率です。

 

この円の真ん中に1円玉(1グラムの物体)を置くと、円周の長さが小数点以下15桁目あたりで、数学でいう円周率よりも小さくなります。

 

上記の「15桁目」というのは、専門用語でシュワルツシルト解というものを使ってのオーダー見積もりです(距離の2乗を表す計量テンソルにおいて、シュワルツシルト半径が30桁なので、距離的には15桁になります)。1円玉の影響で時間の進み方も遅くなるのですが、シュワルツシルト解は時間変化が無い、という場合の解なので、シュワルツシルト解から時間の遅れを見積もることはできません。が、まあ大体そんな桁数の所で時間の進み方が遅くなるでしょう。

 

角度は距離の影響が1乗で効くので、三角形の内角の和も180度から小数点以下15桁前後の所で、180度よりも大きくなります。

 

上記の桁数は重さの平方根が効くので、例えば重さが2桁大きい100gの物体を置くと、2桁の半分の1桁だけ影響が大きくなり、上記で「15桁目」と書いたものが「14桁目」になります。

感覚的にわかるのは、たぶん「2桁目」くらいでしょうから、そのためには影響を15ー2=13桁大きくする必要があり、質量を1グラムの26桁倍大きくする、というトンデモな話になってしまいます。そんな重い物を持ってきたら、太陽系が変形します。

 

2.地球が丸い、事との比較

 

古代ギリシャ人は、沖合からくる船のマストの先端が船本体より先に見えることから、海面が丸い事を知っていたそうです。

地球の丸みは、3.6km進むと1mの高低差を生むので、古代ギリシャ人は4km先の1mの棒が見えたハズです。

これをもっと身近な数字に換算すると2mで0.5mmになるので、2メートル離れた所に0.5mmのシャーペンの芯を1本および2本置いたときに、古代ギリシャ人はどちらが1本で、どちらが2本か見分けられた、ことになります。

 

相対論の効果も、こんな程度に大きかったら、相対論は間違っている、と主張する人が減っていたかも知れません。

 

閑話休題