1.ニュートン力学
固定された背景時空を物が運動している。
絶対主義。
同じ出来事を2人の慣性系(絶対的に正しい人達)が見るとき、2組のxyzt(場所と日時)の値はガリレイ変換で換算できる。
2.特殊相対性理論
固定された背景時空を物が運動している。
絶対主義。
同じ出来事を2人の慣性系(絶対的に正しい人達)が見るとき、2組のxyzt(場所と日時)の値はローレンツ変換で換算できる。
3.一般相対性理論
物の影響で背景時空が変形する。
相対主義。
絶対的に正しい人達、というのはいない。
4.ペンローズのtwistor理論
背景時空がなく、twistorという物からミンコフスキー空間が作られる(ようにしたかったらしい)。
特殊相対性理論の別バージョンらしいです。
twistorはスピノルで、ミンコフスキー空間をベクトルで見るかスピノルで見るか、という表現の切り替え、という理論なのかも知れません(twistor理論に不案内なのでイイカゲンな憶測です。)
たぶんペンローズは、背景時空を前提とする相対論や量子力学では、「宇宙の始まり」を考えるとき、時間や空間はずっと存在し続けていた、というストーリーしか組み立てられないのを不満に思ったのでしょう。しかし、twistor理論では時間と空間の発生は議論できるかも知れませんが、twistorの発生は議論できないと思います。
twistor理論を受け継いだと言われるループ量子重力理論では、背景時空に依存しない性質を列挙する、という事が行われています。もし、それらの性質から出発してループ量子重力理論を再構成できれば、「時空の存在を前提としないで、時空の理論を作る」という形の、ペンローズが望んだようなストーリーになります。
この2つはxyztでなく、適当な変数を使って運動方程式を作る技法です。
ハミルトニアンでは時間を別扱いして、空間だけを適当な3変数が使える、という方法で、ラグランジュアン形式では4変数すべて適当な変数が使えます。
すると、「いつ・どこで」という形で自然を認識しなくて良い、という話になります。
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1)特殊相対性理論のローレンツ変換は、時間と長さを足し算・引き算するので、時間を別扱いするハミルトニアンは使いづらい事になります。したがって、物性論ではハミルトニアン、素粒子論ではラグランジュアンを使います。
2)xyztに代わる変数を、問題に応じて上手に選んで、運動方程式を楽に作る、というのが当初の目的でした。
しかし「上手に」選ぶには名人芸が必要で、また、運動方程式は多くの場合には簡単に解けない(解析解が無く、数値計算で様子を見る)という事もあり、結局、物性論でも素粒子論でもxyztを使います。
それでも物性論・素粒子論でハミルトニアン・ラグランジュアン使う利点は、ハミルトニアン・ラグランジュアンには、単純に足せる(加法性)という性質があるからだと思います。
加法性:
考慮したい反応の個別のハミルトニアンを足していけば、全体のハミルトニアンが作れてしまいます。例えば、ブラックホール回りの電磁場は、重力場のラグランジュアンと電磁場のラグランジュアンを足せばオシマイで、ディラックの一般相対論の教科書ではそうしています。これを、座標とテンソル解析を使い、曲がった時空でのマクスウェル方程式を考えようとすると大変で、内山龍雄さんの教科書の付録にわざわざその計算が載っていたと記憶しています。
3)ハミルトニアンは、ほとんど常に存在しますが、ラグランジュアンは作れない場合があります。摩擦があったり、ハミルトニアンが多価関数という性質を持つ場合、ラグランジュアンは存在しません。21世紀になってラグランジュアンを持たない素粒子論が調べられていますが、どういう状況でラグランジュアン無しの話になっているのか、私は知りません。