相対性理論に関連する質量として
慣性質量
静止質量
受動的重力質量
能動的重力質量
があります。それぞれについて書いておきます。
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慣性質量は、動かしにくさのことです。慣性質量は、見た目の速さと、動かす(加速する)方向に依存して、値が変わります。
たとえば、手のひらに10gの消しゴムを乗せて、頭を動かさずに消しゴムを見ると、
手に感じる重さは10g
消しゴムを動かす、動かしにくさは10g相当
です。
次に、頭を左右に振ると消しゴムが左右に動いて見えます。消しゴムは私に対して運動していませんが、見た目は動いて見えます。このとき
手に感じる重さは10g
消しゴムを動かす、動かしにくさは10g以上
になります。頭を動かすスピードを速くすれば、動かしにくさは無限に増大します。また、動かしにくさは消しゴムを左右に動かす時が最も動かしにくく、上下に動かすのが最も動かしやすくなります。上下が動かしやすい、とは言っても10g相当よりは動かしにくいです。
このような状況なので、現在の物理では慣性質量は物体固有の性質とは考えません。
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静止質量は、静止して見えるときの慣性質量です。静止質量は定義からして、見た目の速度に依存しません。
また、加速する方向にも依存しません。
数十年前の実験ですが、リチウム原子の出す光の色が1日の間で、また年間を通して変化するか、というのを調べた結果があり、光の波長は(うろ覚えですが)12桁程度変化しなかった、検出限界以下だった、と思います。これは、静止質量が地球・太陽・銀河系の重力場の影響を受けていない、静止質量は加速する方向に依存しない、という仮説と矛盾しない実験結果です。
複数の粒子が時空で同一の座標(x, y, z, t)を持つときに、どの位の割合で反応するか、という程度を「結合定数」と呼びます。
ここで、粒子の運動や反応を計算するときに、運動方程式よりも簡単に作れて便利なものとしてラグランジュアンというものがあり、それは
入ってくる粒子 x 結合定数 x 出ていく粒子
という内容の項を足し算した形になっています。ラグランジュアンで
粒子A x 結合定数 x 粒子A
の形の項の結合定数が、単純には、ラグランジュアンから導かれる運動方程式での粒子Aの静止質量になります。
つまり、ラグランジュアン上では、単純には、自分自身と反応する度合が静止質量と見なされます。しかし、普通はそう「単純」にはならず、運動方程式での静止質量はヒッグス粒子の影響を受けた値になります。
無重力状態の時空を光速で運動する物体は、ラグランジュアンでも運動方程式でも、静止質量ゼロの扱いになります。光子と重力子がこれになります。
電子、クオーク等はラグランジュアン上では静止質量ゼロ扱いですが、運動方程式では静止質量を持ちます。
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受動的重力質量は、いわゆる重さのことで、重力を感じる強さです。どのくらい重力子を吸収するか、であり、ラグランジュアンでは、
粒子A、重力子 x 結合定数 x 粒子A
という内容を表す項の結合定数になる「予定」です。
能動的重力質量は、周囲に対して作り出す重力の強さのことです。どのくらい重力子を発生するか、を表します。ラグランジュアンでは、
粒子A x 結合定数 x 粒子A、重力子
という内容を表す項の結合定数になる「予定」です。
ここで「予定」と書いたのは、今のところ確定した量子重力理論が無いためです。
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静止質量と受動的重力質量と能動的重力質量は比例していて、適当に単位をそろえれば、3つが同じ数字になる、と考えられています。しかし、そう考える根拠・必要性ははっきりしません。
とりあえず、単純なストーリーで、どこまで行けるか見てみよう、という事だと思います。