ニュートン力学が天動説、地動説より優れている点

天動説と地動説は、乱暴な言い方ですが、数学的に同等です。また、地動説には、単純なコペルニクスの地動説と、より高精度なケプラーの地動説が、あります。

 

これら3者(天動説、コペルニクス説、ケプラー説)よりもニュートン力学が優れている点を書きます。

 

1)土星の動きが、より正確に計算できる。

木星万有引力の影響を天動説、地動説は考慮できません。

 

2)海王星を発見した。

古代から知られている水星~土星の外側に、偶然、天王星が見つかりました。ニュートン力学は、天王星の運動のわずかな不規則さから、更にその外側に未知の惑星があると予測できました。そして、ニュートン力学で計算したあたりに、海王星が見つかりました。天動説、地動説では、天王星の動きから海王星の場所・重さ・速度を計算できません。

 

3)太陽が2つ以上あっても困らない。

天の河の星(太陽系がある銀河系の星)の内、可能な範囲で調べたところ、ざっくりと75%(4つに3つ)は燃える星が1つで、20%が2つ、5%が3つ以上、だそうです。夜空に見える星の4個に1つは太陽が2つ以上あり、地動説は、どの太陽が中心なのか困ってしまいます。

ニュートン力学は、困りません。太陽が2つある場合(惑星はその2つより十分軽いとして)、太陽系の重心は2つの太陽を結ぶ線上にあり、2つの太陽はちょうど鉄アレイを回転させるような具合で、重心の周りを回転する、という描像になります。

 

4)なぜ、太陽系が「宇宙空間を漂っている」ように見えるのか、説明できる。

銀河系は直径10万光年で、半径5万光年。銀河系の中心は射手座の方向に3万光年進んだ所にあり、太陽から銀河周辺部までは2万光年。射手座の向こうに巨大な銀河系本体が広がっていることになります。

すると当然、太陽系は射手座の方向に、膨大な数の恒星からの万有引力で引っ張られます。この加速は、太陽系内で均一なので、太陽系の内部(太陽、地球、月、そして地上にいる私達の体、など)を見ている限りは、「まるで加速されていない」ようにしか見えません。

 

これは、自由落下する飛行機内で無重力が体験できる、という状況と同じです。飛行機も乗客もおなじ加速度で下へ加速している時、飛行機の内部を見ている限りは、「まるで無重力」のようにしか見えません。

飛行機の場合は窓から外を見れば、下に向かって落ちていることがわかります。太陽系の場合も、太陽系の外=星座の星々を見れば、射手座の方向にどのくらい加速されているか判るハズです。しかし、現状では、太陽系の進む方向と、直進する速さが大体わかるだけで、その進む進路がどの程度曲がっているか(射手座方向からの引力が強いほど、進路が大きく曲がることになります)は、わかっていないようです。